「明日は明日の風が吹く」という言葉、どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
時代劇のセリフや、日常会話の中でふと使われるこのことわざには、私たちの心を軽くしてくれるような、不思議な響きがあります。
先の見えない現代社会において、この言葉が持つ意味合いはますます重要になっているのかもしれません。
この記事では、「明日は明日の風が吹く」ということわざの深い意味、その使い方、そしてこの言葉が私たちに教えてくれる人生のヒントについて、詳しく掘り下げていきましょう。

【北澤篤史先生】
ことわざ・漢字熟語の専門家、ことわざ学会理事。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。
「明日は明日の風が吹く」のポイントまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 言葉 (読み方) |
明日は明日の風が吹く(あしたは あしたの かぜが ふく) |
| 意味 | 未来のことを今から心配しても仕方がない。物事は自然に変化し、なるようになる。 |
| 使い方の例 |
|
| 使われる場面の例 |
|
| 似た意味の言葉(類語) |
|
| 反対の意味の言葉(対義語) |
|
| 英語表現 | Tomorrow is another day.(明日はまた別の日) |
| 教訓・人生観 | 変化を受け入れて、未来への過度な不安を手放す柔軟な心構えが大切。 |
「明日は明日の風が吹く」が持つ基本的な意味
このことわざの基本的な意味は、「未来のことを過度に心配しても仕方がない、なるようになるさ」という楽観的な考え方や、「物事は自然の流れに任せるのが良い」という心構えを表しています。
今日がどんなに辛い日であったとしても、明日はまた新しい状況が訪れる、だからくよくよせずにいよう、というメッセージが込められています。
どちらかというと、積極的に未来を切り開くというよりは、運命や自然の流れを受け入れ、ゆったりと構える姿勢を示す言葉と言えるでしょう。
由来はどこから?
「明日は明日の風が吹く」ということわざには、特定の古典や故事に由来する明確な出典は見当たりません。
古くから人々の間で自然に使われるようになり、定着してきたと考えられています。
風という自然現象を、移り変わる状況や成り行きに例えた、非常に日本的な表現と言えるかもしれません。
あるがままを受け入れ、自然と共に生きてきた日本人の感性が生んだ言葉なのかもしれません。
どんな時に使う?「明日は明日の風が吹く」の使い方
このことわざは、主に以下のような状況で使われます。
失敗や困難に直面し、落ち込んでいる人を励ます時
終わったことをいつまでも悔やむのではなく、気持ちを切り替えて明日を迎えようと促す意図で使われます。
「済んだことは仕方ない、明日は明日の風が吹くさ」といった具合です。
将来への不安を口にする人に対して
まだ来てもいない未来のことを心配しすぎる人に対し、「先のことを案じても仕方ない、なるようになるよ」と、肩の力を抜くようアドバイスする際に用います。
自分自身の気持ちを切り替えたい時
何か心配事があっても、「まあ、考えても仕方ない。明日は明日の風が吹く」と自分に言い聞かせ、楽観的に構えようとする時にも使われます。
その日暮らしの気楽さや、流れに身を任せる生き方を表現する時
必ずしもポジティブな意味だけでなく、「計画性がない」「行き当たりばったり」といったニュアンスで使われることも稀にあります。
具体的な例文で使い方をマスター
「明日は明日の風が吹く」を使った例文をいくつかご紹介します。
- プレゼンで大失敗しちゃったけど、まあ、明日は明日の風が吹くって言うし、今日は美味しいものでも食べて忘れよう。
- 来月から新しい部署に異動だけど、どうなるかなんて分からないよ。明日は明日の風が吹くさ、あまり心配しないことにする。
- 「この先の計画はどうするんだ?」「うーん、特に決めてないよ。明日は明日の風が吹くからね」
- あいつはいつも楽天的なんだ。「明日は明日の風が吹く」が口癖で、細かいことは気にしないタイプだよ。
- 失恋して辛いけど、いつまでも泣いていられない。明日は明日の風が吹くことを信じて、少しずつ前を向こうと思う。
似た意味を持つ言葉(類語)
「明日は明日の風が吹く」と似たような意味合いを持つ言葉はいくつかあります。
- ケセラセラ (Que Sera, Sera): スペイン語由来で「なるようになる」という意味の、有名な言葉です。楽観的な態度を示す点で共通しています。
- なるようになる: まさに「明日は明日の風が吹く」をより直接的に表現した言葉です。
- 果報は寝て待て: 焦らずに待っていれば、幸運はそのうちやってくる、という意味です。流れに任せるという点で通じるところがあります。
- 人事を尽くして天命を待つ: やるべきことは全てやったのだから、あとは結果を天の意思に委ねる、という意味です。諦めや楽観とは少し異なりますが、最終的に結果を受け入れるという点で共通項があります。
反対の意味を持つ言葉(対義語)
一方、対照的な意味を持つことわざもあります。
- 備えあれば憂いなし: 事前に準備をしておけば、いざという時に心配がない、という意味です。将来に備えることの重要性を説いています。
- 転ばぬ先の杖: 失敗しないように、前もって用心しておくことの大切さを示す言葉です。
- 今日の一針、明日の十針 (A stitch in time saves nine.): 今日のわずかな労力を惜しむと、明日にはもっと大きな手間がかかる、という意味で、問題は早めに対処すべきだと教えています。
英語ではどう表現する?
「明日は明日の風が吹く」に相当する英語表現としては、映画『風と共に去りぬ』の有名なセリフでもある “Tomorrow is another day.” が最も近いでしょう。
「明日はまた別の日だ」という意味で、今日とは違う状況が訪れること、気持ちを切り替えるニュアンスを含みます。
「明日は明日の風が吹く」が示す人生観
明日は明日の風が吹くは、私たちにどのような生き方を教えてくれるのでしょうか。
それは、未来に対する過剰な不安や過去への執着を手放し、「今、ここ」に意識を向け、変化を受け入れる柔軟さを持つことの大切さではないでしょうか。
私たちはつい、まだ起こってもいない未来を心配したり、終わったことをいつまでも悔やんだりしがちです。
しかし、「明日は明日の風が吹く」という言葉は、そんな私たちに「大丈夫、なるようになる」と優しく語りかけ、心を軽くしてくれます。
もちろん、将来への備えや計画が不要だと言っているわけではありません。
しかし、心配しすぎても現状が変わるわけではなく、むしろ心を消耗させてしまうこともあります。
時には、「明日は明日の風が吹く」と呟いて、肩の力を抜き、自然の流れに身を任せてみる。
そんな心の余裕を持つことが、ストレスの多い現代を生き抜く上で、大切な知恵となるのではないでしょうか。
変化を恐れず、しなやかに状況に対応していく。
そんな生き方を示唆してくれる、味わい深い言葉なのです。
まとめ
「明日は明日の風が吹く」は、単なる楽観主義や成り行き任せを表すだけではなく、変化を受け入れ、未来への過度な不安から心を解放してくれる、深い知恵を含んだことわざです。
落ち込んだ時、将来が不安な時、あるいは単に気持ちを切り替えたい時、この言葉を思い出してみてください。
きっと、ふっと心が軽くなり、また新しい一歩を踏み出す勇気を与えてくれるはずです。
状況に応じてこの言葉の持つ意味を捉え、日々の生活の中で活かしてみてはいかがでしょうか。











コメントを残す